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□こうい
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人は何を思って
人に“こうい”を持つのだろう




【こうい】




俺は幼い頃ある人に救われた。
一度も見たことなんてなかった。
でも死神だとわかったのはあのどくとくの黒い着物だろうか。
もう一度彼に会いたくて会いたくて…
霊術院の扉を叩いた。
そこで必死に勉強した。
そしてたくさんのことを学んだ。
楽しさも、悲しさも、悔しさも。
そして…自分がどれほど不甲斐ないかも。
あなたなら、もっと上手く立ち回ったでしょうか。
あれからもう会うことはなかったけれど、ずっと憧れてやまなかった。
あなたがもうここには居ないと知ったとき目の前が真っ白になってしまうほど。
それでも、あなたに近づきたかった。
あなたは今、どこにいますか?
あなたの中に俺という存在はいますか?
俺のことを、少しでも覚えていてくれていますか?
俺は、あなたを忘れられません。




「もう、あれから百年も経ったんだな…」




俺の中であなたの存在は大きくなっていくばかりで。
幼い頃、よくわからなかった感情も今ならわかる。




「好き…けんせーさん…」




あなたが好きです、と。
ずっとずっと憧れていました、と。
次会ったときに伝えられるようにと願いを込めた頬の刺青。
この69は、俺のお守り。
きっともう一度、あなたに会えると信じてるから。





(また会えたら)(何を言おうか。)




-END-




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